AD4855は、フル・バッファで8チャンネルを同時にサンプリングする16ビットの250kSPSデータ・アクイジション・システム(DAS)です。コモン・モード電圧範囲が広い差動入力を備えています。その機能アーキテクチャを図1に示します。AD4855は、5Vの低電圧電源、柔軟な入力バッファ電源で動作し、高精度の低ドリフト内部リファレンスおよびリファレンス・バッファを使用しています。AD4855を使用すると、アプリケーションのネイティブな信号振幅に一致するように各チャンネルのSoftSpan範囲を独立して設定でき、追加の外部シグナル・コンディショニングが最小限に抑えられます。シングル変換ダイナミック・レンジを更に最大化するため、AD4855にはシームレス・ハイ・ダイナミック・レンジ(SHDR)技術が組み込まれています。有効にすると、チャンネルの入力信号パス・ゲインがサンプルごとに自動で最適化され、直線性に影響を与えることなく各サンプルのコンバータ・ノイズが最小限に抑えられます。
AD4855の11MHz帯域幅、ピコアンペア入力アナログ・バッファ、広い入力コモン・モード電圧範囲、120dBコモン・モード除去比(CMRR)により、このDASではINx+およびINx−で任意の振幅を使用して入力信号を直接デジタル化できます。その入力信号の柔軟性が、±160 μVの積分非直線性(INL)、16ビットでのノー・ミス・コード、94.6dBのS/N比(SNR)、98.1dBのダイナミック・レンジ(DR)と相まって、AD4855は、高い正確性、スループット、および精度をコンパクトなソリューション・フットプリントで実現する必要のあるアプリケーションに最適な選択肢となっています。16ビット・オーバーサンプリングを有効にすると、SN比とダイナミック・レンジが更に向上します。オプションのチャンネルごとのオフセット、ゲイン、および位相の調整により、DASの上流でのシステムレベルのエラーをキャリブレーションおよび除去することができます。
AD4855は、シリアル・ペリフェラル・インターフェース(SPI)レジスタ設定バス(0.9V~5.25V)を備えており、低電圧差動シグナリング・バス(LVDS)および相補型金属酸化膜半導体(CMOS)変換データ出力バスのどちらにも対応できます。この選択にはLVDS/CMOSピンを使用します。CMOSモードでは1~8レーンのデータ出力を採用することができるため、バスの幅とスループットを最適化できます。
7.00mm × 7.00mm、64ボールのボール・グリッド・アレイ(BGA)を採用したAD4855には、重要な電源およびリファレンスのバイパス・コンデンサが内蔵されているため、ソリューション全体のフットプリントおよび部品数を最小限に抑えることができ、アプリケーションのプリント回路基板(PCB)レイアウトによる影響を低減できます。このデバイスは、拡張工業用温度範囲−40°C~+125°Cにわたって動作します。
このデータシートでは、LVDS/CMOSなどの多機能ピンについて、ピン名全体を表記する場合と、ピンが持つ機能の1つを表記する場合があることに注意してください。例えば、LVDS機能のみが関連する場合は、LVDSと表記されます。
アプリケーション
ATE(自動試験装置)
アビオニクス(航空電子機器)と航空宇宙
計測器および制御システム
半導体製造
試験および計測