世界標準の標準白金抵抗温度計
• ドリフト・レート 0.0005 K
• 特別な比率の混合気体により、高い安定度を保証
• 経験豊富な標準白金抵抗温度計の開発チームによる設計
一次標準として正しい白金抵抗温度計を選択することは大変重要なことです。しかし残念なことに、標準白金抵抗温度計がどのように製造されているかは、あまり明らかにされていません。20 ~ 30 年前のリーディング・カンパニーには当時の設計者やエンジニアが残っていないからです。その点フルークは、今も標準白金抵抗温度計の設計グループを維持している数少ないメーカーです。
それでは何を決め手に標準白金抵抗温度計を選べば良いのでしょうか。各社がそれぞれ専門知識や技術を独自に主張していますが、そうした情報だけでは不十分です。そのメーカーが、最新の標準白金抵抗温度計開発に求められる技術や知識を持っていると証明するものは何でしょうか。フルークでは、どのように標準白金抵抗温度計を製造しているかをきちんと説明することができます。標準白金抵抗温度計の設計、組み立て、校正を行うスタッフとお話いただくこともできます。
これらの標準白金抵抗温度計には金メッキのスペード・ラグ、シース内の対流防止用のディスクが取り付けられています。また、4本のワイヤにはストレスがありません。高純度の白金と高品質な石英ガラスを用いて作られており、表面にはつや消し加工が施されています。
温度計の白金線の純度はITS-90の条件を満たすうえで大変重要です。白金抵抗はITS-90定義定点における抵抗比Wで校正されます。白金の純度を保つことが、長期安定性の維持のために重要です。標準白金抵抗温度計の石英ガラス・チューブは白金線が不純物と反応するのを防ぐため、正しく密封されている必要があります。この密封に機械的な接合部品やエポキシが使われることがあります。しかしその場合、温度計の内部に新たな物質を加えることになりますし、密閉部も故障しやすく、白金を不純物にさらす恐れがあります。
理論的には石英ガラスにより白金線を直接密閉するのが一番です。しかし温度計のシースに使われている石英ガラスの膨張率がたいへん小さいのに対して、白金の膨張率がずっと大きいため、アセンブリは温度変化により、密封状態が不安定になります。そこでフルークでは、ガラス・シースと白金線の膨張率を釣り合わせる方法を見つけ出しました。少しずつ膨張率の異なる18種類のガラスを、順々に重ね合わせて封をするのです。一番内側のガラス片の膨張率及び収縮率は白金と同じで、少なくとも20年は気体漏れや不純物の侵入を防ぎます。
異なるガラスを順々に融合させていくのはお金も手間もかかる作業ですが、それだけの価値のある作業といえます。
フルークでは白金のサポート部、チューブとその内側の対流防止ディスクにも純粋な石英ガラスを使用しています。雲母やセラミックは使用していません。また、特殊なガラス処理工程により、失透への耐性を高め、通常のクリーニング工程以上に不純物を取り除くことができます。
さらにフルークでは、石英シース内のアルゴンと酸素の混合比についても研究を重ねました。白金が高温で異種金属と反応する危険を最小限に抑えるのに、ある程度の酸素は必要ですが、500 ℃以下の時に酸素がありすぎると酸化が進み、白金の純度に影響を与えます。フルークは白金の保護に最適な混合比を見つけ出しました。
このように一見些細なことの積み重ねが、より小さな不確かさと小さなドリフトにつながるのです。