このメトロロジー・ウエルは、特許申請中の画期的な電子機器を内蔵しており、現場環境で標準室レベルの品質を実現します。新しいアナログおよびデジタルの制御技術により、安定度は±0.005 ℃です。また、デュアル・ゾーン制御を行っているため、軸方向(または垂直軸方向)の均一度は60 mmのゾーンにわたって±0.02 ℃です。このメトロロジー・ウエルを除いては、液体バスでなければこれほどの性能は実現できません。
工業用の熱源の性能には6つの重要な要素があります。(これについてはEA-10/13の中で説明されています。)校正された表示確度、安定度、軸方向(垂直方向)均一度、放射方向(ウエル間)均一度、負荷の影響、ヒステリシスの6つです。フルークではこれに、本格的な基準温度計入力という7番目の要素を追加し、メトロロジー・ウエルという新しい製品カテゴリーを作りだしました。
(EA-10/13にある全ての性能カテゴリーについて述べた仕様書を発行している製品はメトロロジー・ウエルだけです。フルークの仕様は単なる見込みやガイドラインではなく、フルークが販売する全てのメトロロジー・ウエルに対して適用されます
表示確度
ドライウエルは通常、校正済みの白金抵抗温度計をウエルのひとつに挿入し、ドライウエルに内蔵された制御センサーをその白金抵抗温度計の読みに基づいて調整して校正します。しかし基準に用いる白金抵抗温度計の特性値は、ドライウエル校正器によって校正される温度プローブのそれとはまったく異なることが多いため、この方法には限界があります。また、ドライウエル金属ブロック内に大きな温度勾配が存在することや、ブロックが短すぎることによるセンサーの浸没度不足など、問題はより複雑化します。
その点、メトロロジー・ウエルは温度勾配、負荷効果、ヒステリシスを最小限に抑えており、表示されている値の校正がより意味のあるものになります。フルーク・キャリブレーションはメトロロジー・ウエルの校正にトレーサビリティが褒賞されている認定校正済みの白金抵抗温度計のみを用いています。また独自のエレクトロニクス技術により、仕様(よく使われる温度で±0.1 ℃、661 ℃で±0.25 ℃)より10倍以上優れた確度を安定して表示します。
上記の不確かさの理解に役立つアプリケーションをダウンロードしてご覧いただくことができます。このページの関連資料タブより、"Understanding the uncertainties associated with the use of Metrology Wells" を選択してください。
ITS-90に準拠した基準PRTの読み取りが可能な基準温度計内蔵モデルなら、さらに高確度な校正が可能です。
安定度
メトロロジー・ウエルは優れた安定度で知られる他のフルーク・キャリブレーションの熱源をさらに上回る安定度を実現します。これ以上安定した熱源は液体バスや一次標準の定点セルでしか得られません。低温用の2モデル(9170、9171)の安定度は全レンジで±0.005 ℃、高温モデルの9173の安定度は700 ℃で±0.03 ℃です。
軸方向均一度
EA-10/13ガイドラインでは、通常ウエル底部で40 mmの最大温度均一ゾーンを持つことが奨励されていますが、メトロロジー・ウエルは、独自のエレクトロニクス技術とデュアル・ゾーン制御、およびかつてのドライウエルにはなかったウエル深度により、60 mmにわたる温度均一ゾーンを実現しています。 これらのゾーンでの垂直方向の均一度は、0 °Cで±0.02 °C、700 °Cで±0.4 °Cです。
垂直方向均一度
放射方向均一度とは、ウエル間の温度差です。熱源の設計が良くなかったり、プローブの直径が大きい場合には、この温度差は極めて大きくなります。メトロロジー・ウエルの放射方向(ウエル間)均一度の仕様は、直径6.