浜松ホトニクスは、1980年代から独自のカメラ設計技術を生かした 高感度・低ノイズなカメラの開発を続け、常に最先端の科学技術研究の発展に貢献してきました。そして、その究極ともいえる性能をもったカメラがこの「ORCA-Quest」です。 C15550-20UPは、世界で初めてqCMOSイメージセンサを搭載し、新たに開発した専用の技術を駆使して光電子数の識別を実現したカメラです。究極の定量イメージングを実現しています。
微弱光を高S/N で検出するために、ORCA-Quest では、センサの構造からエレクトロニクスまでのありとあらゆる部分の最適化を図った設計を行いました。さらに最新のCMOS テクノロジーを使用したカスタムセンサを開発することにより、0.27 electrons rms という極限の低ノイズ性能を実現することができました。
「光」とは、多数の「光子(Photon)」の集まりです。光子はセンサ上で電子に変換され、この電子を「光電子(Photoelectron)」といいます。光電子を数えることにより、光を正確に計測する方法が「光子数識別(Photon number resolving)※」です。光電子を数えるためには光電子の信号量よりカメラ側のノイズが十分に小さい必要があります。従来のsCMOSカメラも読み出しノイズを小さく抑えていますが、それでも光電子の信号量よりもノイズは大きく、光電子を数えることは困難でした。ORCA-Questでは、低読み出しノイズの0.27 electrons rms(@Ultra quiet scan)および、温度や時間に対する安定性、各画素値の個別校正とリアルタイム補正などの高度なカメラ技術の投入により、光子数識別を実現しています。
※光子数識別とは「光電子」の数を識別するもので、正確には「光子の検出」とは異なります。しかし、この分野における類似の手法である単一の光電子検出に対して「単一光子検出(Single photon counting)」という用語が用いられていることから、「光子数識別(Photon number resolving)」という用語を使用しています。