ECZ Luminous™ (JNM-ECZLシリーズ)は、最先端のデジタル技術と高周波技術を搭載したFT NMR装置です。
高集積化された高速・高精度デジタル高周波制御回路Smart Transceiver Systemにより、分光計のさらなる小型化と高い信頼性を実現しました。
従来の低磁場溶液NMR装置のサイズでありながら、高磁場や固体のNMR測定が可能です。
新機能Multi Frequency Drive Systemにより、標準構成の分光計でありながら多重共鳴測定が可能となり、ソリューションの広がりを提供します。
特長
デジタル高集積技術&高周波技術 STS (Smart Tranceiver System)
前機種JNM-ECZシリーズより採用のデジタル高集積&高周波技術STS (Smart Transceiver System) を踏襲しています。シーケンサー、DDS (Direct Digital Synthesizer)、FSU (Frequency Synthesizer Unit)、トランスミッター、レシーバー、アクイジションユニット、ゲート制御ユ ニットをわずか1枚のRF (Radio Frequency) 送受信ボードに集約しています。4周波数ソースユニット2つ (HF, LF各1つ)、レシーバー1つがRF送受信ボードに構成されています。標準構成装置で、計8周波数ソース、1レシーバーを搭載しています。
これは、NMR装置の基本構成を1枚のボードに集約したことに相当します。ECZ Luminous™は、このRF送受信ボードを4枚まで拡張し、最大8核32周波数ソースと4レシーバーまでサポートすることが可能です。
さらに、STSにおける送受信系は、ダイレクトコンバージョン方式によりフレキシブルな周波数変換性をもち、対象周波数に応じて効率的かつ最適な信号送受信を可能にします。
高速高精度デジタル制御全てが最小5 ns
ECZ Luminous™のシーケンサーは、周波数・位相・振幅変調の制御時間分解能が最小5 nsという高速制御を実現しています。それに加え、送信系のみならず受信系双方で同期的または非同期的にダイナミックな周波数・位相変調が可能なデジタル直交検波 (DQD) 回路を搭載しています。これにより高機能かつ高自由度の信号処理が可能となり、近年さらに重要度を増している最先端固体NMR測定などへの応用が期待されます。さらにシーケンスメモリーには独自のストリーミング転送技術を搭載し、疑似的に無限に近いメモリー容量を持っています。同時に各種ゲーティングや外部システムとの同期動作に関しても、同様の制御性能を備えています。これらの高速高精度なデジタル制御技術は、多岐にわたる最先端のNMR測定を実現するための多種多様な要求に対し、最適なソリューションを提供します。
広いダイナミックレンジ
ECZ Luminous™に搭載されているレシーバーは、シーケンサー制御されており、独立してダイナミックに周波数・位相変調してサンプリングすることが可能です。16ビット100 Mspsの高速A/D変換によるDQD (Digital Quadrature Detection) は、高倍率のオーバーサンプリング により、量子化ノイズに対する実効ダイナミックレンジを向上されるだけでなく、IMDなどの不要信号を極限まで低減しています。また、NMR用に最適化されたデジタルフィルターは、広帯域にわたる定量性を確保しています。
ECZ Luminous™の高いダイナミックレンジにより、溶媒などの大きな信号を含むNMRスペクトル中の微小な信号をはっきりと捉えることができます。