3.1.4.ヤンマーブランドの向上
次に、普段は船の機関室に隠れているエンジンにも是非とも目を配ってもらいたい。
4LVシリーズの特徴としてまずビジュアルに訴えてくるのがカバーである。4LVシリーズにはトップカバー、ベルトカバー、ECUカバーの主な3つのカバーを使用しているが、主な機能は内部部品の保護やけが防止である。これまでマリンエンジンのカバーには鉄板が使われることが多かったが、4LVシリーズではこれにデザイン性という付加価値を付けた。特にトップカバーはエンジンの顔でありながらメンテナンス時には足場として使用される場合もあり、デザインを成立させつつ強度を確保するためにデザイン担当者やサプライヤーと細部に至るまでとことん話し合い形状をFIXさせた(図5)。
また2015年リリースの6LY400/440とデザインを統一させており(図6)、今後の新規マリンエンジンにも同様のデザインを採用することでヤンマーブランドを高めていく。
3.2.エンジンの搭載性維持
プレジャーボートを含めた舶用市場ではボートの寿命が数十年に及び、エンジンを乗せ換え(換装)する機会がしばしば発生する。換装の機会に後継機として4LVシリーズを選んでいただくには容易に搭載できることが求められる。4LVシリーズは搭載性において重要な下記3点について特に配慮した。
3.2.1.換装性
エンジンルームの改装が不要
当社従来機および同クラスの他社機と同等のエンジンサイズとし、換装時のエンジンルームの改装を不要にした。また、機関据付脚幅も当社従来機と同一にしているため、機関台の変更も不要である。
機械式からの換装が可能
近年、エンジンやトランスミッションを操作する「コントロールレバー」などの操作システムの電子制御化が進んでいるが、機械式のユーザーも多数存在する。
4LVシリーズでは元々搭載されていた機械式コントロールレバーを継続使用できるように、電子制御仕様に加え機械式仕様も設定している。機械式仕様とは、具体的には機械式コントロールレバーの動きを電気信号に変換する「ポテンションメータ」をエンジンに搭載した仕様であり、従来の機械式システムに使用されていたケーブルを、そのまま4LVシリーズに接続可能にした(図7)。